あなたの声

最近自宅での作業中には、特にラジオを流しております。
人は学生時代、ラジオっ子だった人とそうでなかった人に別れると思いますが、私は中学の頃はスポーツに勤しみ、高校生になってからはアルバイトに明け暮れていたので、受験勉強の時くらいにしか聴く機会がありませんでした。そしてそれはもう全くBGMとしか扱ってなかったので、誰が何の番組をしていたか覚えておりません。それからは、ポッドキャストをたまーーーに流す程度でラジオからは遠ざかっていたのですが、去年の年末。年越しの準備やら発送のあれこれをしている間、静かなのも追いつめられるし音楽を流すと逃避しちゃうしでどうにも捗らない!というときに、なんとなく流し始めたところ、殊の外具合が良かったので、それからは度々お世話になっています。

最近いいなぁと思ったラジオ番組は、小川洋子さんのメロディアスライブラリー。
作品の紹介、解説の端々に「ここが素晴らしいところなんですよ〜」と熱く読みどころを語られるその声から、文学への情熱が迸っております。なんか正座して聴いちゃう。

ところで、ラジオを流し続けてわかったこと。それは、自分が人との会話に相当飢えているという事実…。以前は接客業をしていたので、それこそ毎日会話をしていました。今は夫としか会話をしていない日がザラにあり、その上お勤めに出ていない私の周囲で起こる事件は、今まで以上にささやかで小さく、取り立てて他人に話すことでもない事柄ばかり。「洗濯機の排水が詰まった」話題とか、5秒で終わります。インターネットから得た下世話なニュースについて不毛な議論を夫としていても、心が晴れるはずもありません。

ラジオはそんな私の心を、それなりに慰めてくれています。他人の声を聞くのって、いいですね。まぁ一方通行なんですけど。なんか書いてて悲しくなってきました。やっぱ外に出ます。

穴だらけのカレンダー

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年を越すにあたり、私が密かに力を入れているのが、カレンダー選びである。
といっても、あらゆるお店に足を運んだりとか何ヶ月も前から予約をしたりとかいったようなことは一切しないので、力を入れているといってもたかが知れているのだが、気に入ったものが見つからなければ今年のカレンダーは無しだ、くらいにはこだわっている。
ここ数年、100円ショップのカレンダーが侮れない。去年のカレンダーは「鳥シリーズ」だった。100円ショップのカレンダーといえば、よく子犬や子猫がぎうぎうにカゴに入った写真が添えられていたりと、ひたすらダサいものばかりという印象。この鳥シリーズもダサい部類に入るのだろうが、実はなかなかどうして気の抜けない作りになっている。表紙に踊る「鳥」の文字はその片鱗である。どうしてこんなことしてしまったんだろう。購買意欲が高まるとはとても思えないが。*1
中の写真がまた酷い。各月に一枚、鳥の写真が載っているのだが、日本の鳥や野鳥縛りというわけでもないらしく、日本には絶対に生息してないだろうなぁというような極彩色の鳥を突然挟んだりして、一貫性がない。挙句には『タンチョウヅル』や『カモメ』に混じって『ヒナ』というテーマの写真が混ざっていた。写真はなるほどヒナだったが、ヒナってなんだよ。なんのヒナだよ。

そんなこんなで今年も様々なカレンダーを吟味した結果、写真右の「夜景シリーズ」に決定した。買った後気がついたのだが、鳥シリーズと製造元同じじゃあないか。
どうやらここは、カレンダー製作に秩序というものを持ち込まない主義らしく、今年の写真もすばらしく一貫性がない。夜景と聞いて、人は何を思い起こすだろうか。ほとんどの人は都市景観を連想するだろう。google先生に訊いてみても、東京・函館・長崎、海外では香港・ナポリモナコといった都市の夜景がズラリと並ぶ。そうだよね、夜景ってそうだよね。
だが、このカレンダーはそんな先入観に捉われず、のびのびとした発想で夜の景色を切り取っている。まず一月は、白川郷の合掌造り集落の写真で、見るものの虚をつく。そこからイタリアなどの都市を経て、四月には画面いっぱいの夜桜。一応『兵庫県』と書いてあるが、その情報がもたらすものは何もない。中でも驚いたのは、夜景で有名な『香港』の写真が、単なる星景写真だったこと。こんなの、香港である必要どこにもないじゃないか。全く腑に落ちない。
とはいえ、全てがズレているわけではないんです。中には『函館』とかいわゆる一般的な夜景写真もきちんとある。二枚目の『香港』は、都市の煌びやかな夜景だったしね。*2 悲しいかなそれらによって、さらに混沌たる様相を呈しているわけだが…。

今年一年、私は去年と同じように、月が変わるごとに、期待と不安が入り混ったような、なんともいえない気持ちでカレンダーをめくるのであろう。そしてめくるたびに一言文句を言い、夫にもカレンダーの写真について愚痴をこぼしつつ、また2017年を迎えるのであろう。
そう考えると、不思議なことにこれからの一年が、ちょっとだけ楽しみになるのだ。*3

*1:って私はそこに惹かれて買ってしまったのだが

*2:二枚もあるのかよ、とか、香港これだけでいいじゃん、とかは置いといて

*3:といいつつ、本当に気に入ったカレンダーも別に買っちゃっている

愛を叫ぶ映画

A FILM ABOUT COFFEEが公開されましたね。
昨年9月に、一回だけ横浜で上映され、その時はプロジェクトとしてCAMPFIREで資金を募った末の上映、という形でした。私はその時に鑑賞いたしましたが、コーヒー好きの方は観て損はないと思います。

何年か前、「おいしいコーヒーの真実」というドキュメンタリー映画を、渋谷まで観に行きました。この映画は啓発的というかいやどっちかっつうと告発的な内容の映画で、そのメッセージ性の力強さに当てられてふらふらと帰った記憶があります。
そこへいくと、この「A FILM ABOUT COFFEE」は、生産者からバリスタ、マイクロロースターまで多くのコーヒーのプロフェッショナルが「コーヒーが好きだ!」と愛を叫んでいるような映画なので、観ていてワクワクしますよね、コーヒーが好きな人は。日本のお店も出てきます。BEAR POND ESPRESSO,OMOTESANDO KOFFEE,そして今は閉店してしまった大坊コーヒー…。FUGLENやLittle Nap COFFEE STANDも映ってたっけ。
映画を見てゆっくりコーヒーを飲みに行くのも、いいと思います。まぁ、私自身は、いつも鑑賞するときはお酒片手なんですけどね…去年インターネット上でこの映画販売していたので購入したので、ちょこちょこ自宅で観ています。

こんなにも多くの人間をある意味狂わすコーヒーって、魔性の飲み物ですね。


【A Film About Coffee】(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)ティザー予告