Blue Sea Blues

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瀬戸内海を見て育った人間にとって、太平洋や日本海の海は衝撃だ。寄せては返す波がある、それだけで驚きなのだ。瀬戸内海は、台風でもこない限り、そのほとんどが凪である。

帰郷の連絡をした姉との電話の中、家族皆で海水浴へ行こうという話になった。聞くと、甥の成績が大変よろしくないとのことで、最近家庭教師を雇ったらしく、今年は一泊の旅行も計画できない。近くの海に日帰りするくらいがちょうど良いとか。海水浴なんて、久しく行ってない。10年前に、旅行先の鳥取で泳いで以来だ。水着も、プール用のフィットネスウェアしか持っていない。さすがにそれじゃアレだなということで、また10年ぶりに水着を買い、いつもよりも家族連れの多い飛行機に乗って、いざ山口へ。
いくつか海水浴場はある中で、今回は上関町の小さな海水浴場へ向かった。そこは入り江になっていて、波のない瀬戸内海の中でも特に穏やかで、水温が高く、遠浅。透明度も高く、足がつかない深さでも、水面上から底の景色が見通せるほどだ。近くの岩場では、そこそこの魚が泳いでいる。そして、なにより人が少ない。子供連れにはとても良い場所だ。
私がへとへとになるまで泳いでいるあいだ、甥や義兄たちは岩場でモリを使って捕った魚とサ○エを、夕食用に持って帰ってきた。本当に捕れるとは思わなかった。
3時を過ぎると夜にかけて海を楽しむ人たちが集まり出し、若者たちが多くなってくる。午前中から来ていたファミリー層が次々と帰っていくのに倣い、私たちも帰ることにした。帰り道の途中に、原発交付金で建てられた温泉施設があるので、潮を洗い流す。結局、東関東大震災が起こって、上関原発の建設計画は頓挫したままだ。こんな辺鄙で小さい町がランニングコストの財源確保できるのか?と思っていたら、来るたびに賑わっているし、内装をリニューアルしていたりするし、近くには新しく道の駅が出来ているし、どうやら住民が増えてきているらしいし、意外とうまく回っているようである。

楽しかったねと言い合って帰宅した次の日から、私と甥は、自由研究に追われることになる。
夏休みの自由研究とは、子と保護者の共同作業だと改めて実感した。