岩を踏む


11月下旬。きっかけは、鬼怒川秘宝殿の閉館をSNSで流れてきたニュースで知ったことから始まる。
時代の遺物と化した秘宝館という施設は、今や全国にいくらも残ってはいない。その残り少ない中の一つである鬼怒川秘宝殿が、今年いっぱいで閉館してしまうという。
知らせを受けたその週末に、夫と栃木へと向かう列車に飛び乗った。
とはいってもわざわざ栃木まで行って秘宝館だけというのは少々物足りない。最寄の龍王峡駅には、駅名の通り龍王峡という渓谷があるらしく、川に沿ってハイキングが出来るとか。そして秘宝館があるところには大体温泉もある。せっかくなので、全て楽しみましょう。




鬼怒川温泉川治温泉の中間に位置する龍王峡は、日光国立公園景勝地である。アップダウンが緩やかで舗装もされたハイキングコースは、子供連れでも楽しめる。私たちはその後の予定もあるので、往復一時間のむささび橋で折り返す最短コースを行くことに。というか、それ以上は落石があったため、通行止めになっていた。三連休の中日ということもあり、なかなかの賑わい。紅葉の時期からは少し外れていたが、天気が良く気温も高い。行楽日和である。
私たちはトレッキングシューズに登山用ザック、アウトドアウェアと軽いハイキングにしては重めの装備であったが、中にはハイヒールにミニスカートという方もいらっしゃった。流石に最後は死の行進といった面持ちだったが。舗装されているとはいえ足元も不安定なので、最低限スニーカーで挑んだ方がいいだろう。でないと老人に追い抜かされるぞ。

2200万年前、海底火山の活動によって噴出した火山岩が鬼怒川の流れによって侵食され、このように険しい岩盤が連なる景観になったという。
川沿いだけではなく、コース上にも巨大な岩石がごろごろと転がっている。

途中にはオオサンショウウオの生息する池や、コーヒー・軽食を出すお茶屋もある。ゆっくりと写真を撮り、休みながら歩いていけば一時間では足りないと思う。結局私たちは2時間弱で起点の龍王峡駅へと到着した。]





陽に当たってキラキラと光りながら鬼怒川に舞い散る紅葉はとても美しかった。
さて、いよいよ秘宝館である。