穴だらけのカレンダー

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年を越すにあたり、私が密かに力を入れているのが、カレンダー選びである。
といっても、あらゆるお店に足を運んだりとか何ヶ月も前から予約をしたりとかいったようなことは一切しないので、力を入れているといってもたかが知れているのだが、気に入ったものが見つからなければ今年のカレンダーは無しだ、くらいにはこだわっている。
ここ数年、100円ショップのカレンダーが侮れない。去年のカレンダーは「鳥シリーズ」だった。100円ショップのカレンダーといえば、よく子犬や子猫がぎうぎうにカゴに入った写真が添えられていたりと、ひたすらダサいものばかりという印象。この鳥シリーズもダサい部類に入るのだろうが、実はなかなかどうして気の抜けない作りになっている。表紙に踊る「鳥」の文字はその片鱗である。どうしてこんなことしてしまったんだろう。購買意欲が高まるとはとても思えないが。*1
中の写真がまた酷い。各月に一枚、鳥の写真が載っているのだが、日本の鳥や野鳥縛りというわけでもないらしく、日本には絶対に生息してないだろうなぁというような極彩色の鳥を突然挟んだりして、一貫性がない。挙句には『タンチョウヅル』や『カモメ』に混じって『ヒナ』というテーマの写真が混ざっていた。写真はなるほどヒナだったが、ヒナってなんだよ。なんのヒナだよ。

そんなこんなで今年も様々なカレンダーを吟味した結果、写真右の「夜景シリーズ」に決定した。買った後気がついたのだが、鳥シリーズと製造元同じじゃあないか。
どうやらここは、カレンダー製作に秩序というものを持ち込まない主義らしく、今年の写真もすばらしく一貫性がない。夜景と聞いて、人は何を思い起こすだろうか。ほとんどの人は都市景観を連想するだろう。google先生に訊いてみても、東京・函館・長崎、海外では香港・ナポリモナコといった都市の夜景がズラリと並ぶ。そうだよね、夜景ってそうだよね。
だが、このカレンダーはそんな先入観に捉われず、のびのびとした発想で夜の景色を切り取っている。まず一月は、白川郷の合掌造り集落の写真で、見るものの虚をつく。そこからイタリアなどの都市を経て、四月には画面いっぱいの夜桜。一応『兵庫県』と書いてあるが、その情報がもたらすものは何もない。中でも驚いたのは、夜景で有名な『香港』の写真が、単なる星景写真だったこと。こんなの、香港である必要どこにもないじゃないか。全く腑に落ちない。
とはいえ、全てがズレているわけではないんです。中には『函館』とかいわゆる一般的な夜景写真もきちんとある。二枚目の『香港』は、都市の煌びやかな夜景だったしね。*2 悲しいかなそれらによって、さらに混沌たる様相を呈しているわけだが…。

今年一年、私は去年と同じように、月が変わるごとに、期待と不安が入り混ったような、なんともいえない気持ちでカレンダーをめくるのであろう。そしてめくるたびに一言文句を言い、夫にもカレンダーの写真について愚痴をこぼしつつ、また2017年を迎えるのであろう。
そう考えると、不思議なことにこれからの一年が、ちょっとだけ楽しみになるのだ。*3

*1:って私はそこに惹かれて買ってしまったのだが

*2:二枚もあるのかよ、とか、香港これだけでいいじゃん、とかは置いといて

*3:といいつつ、本当に気に入ったカレンダーも別に買っちゃっている