文字のブラックホール

今更ながら、電子書籍が気になっている。
本を読みたくとも、本を持ちたくない者にとっては夢のようだ、電子書籍。とはいえ、紙媒体が無くなってしまうのは許せない!という気持ちもわかる。
新刊を購入し、いざ読まん、と本に触れる瞬間はまるで茶道のそれである。装丁を眺め、質感を楽しみ、開いた瞬間に立ち上る紙の香りを思いっきり吸う…。ページをめくったときの紙の薄さや肌触りも大事だ。わかる、わかるのだが。
いかんせん本はかさばるのだ。東京に住んでいる私たちの住居は、例に漏れずウサギ小屋。去年購入した大きな本棚の領土問題も依然止むことがない。
去年の10月に、初めて自分専用のパソコンを買った。便利なのだが、最近視力が著しく低下していることを実感。その上電子書籍に手を出してしまったら…。ただでさえ相貌失認気味のうえにブラッド・ピットほどの器量も才能も無い私は、あっという間に社会から見放されてしまう!まぁ眼鏡かければいいんだけど!(コンタクトは恐怖心から挫折した)

そもそも、この視力低下は本当にパソコンの所為なんですかね?
調べてみると、やはり液晶の光が利用環境より明るすぎると、目に負担がかかるよう。確かにビッカビカの液晶画面は、刺激が強すぎて長い間見ることができない。ただ、だからといって紙で読むよりも電子で読むほうが、視力が低下してしまうのか、というとまたこれが微妙なところ。やはり、大きく左右するのはその読書環境だということだ。いわれてみれば薄暗い部屋や照りつける太陽の下で紙の本を読むよりも、適切な環境で電子書籍を読むほうが目には良さそうである。といわけで注意すべき点は
・液晶ならバックライトを抑えるか、自然光を反射するような端末を使う
・目を近付けすぎない
・長時間の使用は控える
と一番上以外はまぁ基本だよね。ただ、電子書籍は白黒反転したり色を変えたりできる機能があるらしいので、使用状況に応じて読みやすいように変更することもできる。地味に嬉しいかも。
あとは容量。これも大体のとこは一度購入したら何度もダウンロード出来るようになっているので、ネット環境のない僻地に行かない限り問題はない。「人に貸せない」「読み終わった後売れない」といったデメリットもあるけれど、そもそも私はこれらのことをやらない。人に貸すこともないし、読み終わって要らなかったら捨ててしまう。

あーどうしよう。本当に買っちゃおうかなぁ、端末…。これを機に、夫と休戦協定を結べるかもしれぬ。


と、悩みながら、試し読みまでダウンロードしたのに、結局本屋で買ってしまった文庫本。

紙書籍の呪縛は根深い…。