迷える山羊

10日ほど郷里へ帰省した。こんなに長い間過ごしたのは、何年振りだろう…!上げ膳据え膳を満喫し、不調気味だった心身も大いに健やかになり帰ってきた。
とともにその復活劇に密かに貢献してくれたのが彼だ。


山羊!大きさは大型犬くらい

私の地元は山と海と田畑にのみ恵まれているようなところで、どこへ行くにも車がないと身動きが取れない。ペーパー歴が遂に二桁に乗り上げた私には、人様の車を借りて運転するほどの度胸は流石になく、となると特に予定もないうちは家に引きこもりBSチャンネルで旅番組を見ながら酒を飲む、といったゴミ同然の生活を余儀なくされてしまうので、時間があるときは近所の川沿いの道へ積極的に散歩に出ていた。
この道は小さな頃からずっとランニングコースとして使っており、周りには田んぼしかないのでその頃と景色もなにも、まぁ全く変化がない道だった。片道約1キロ強、突き当たりの折り返しポイントで思わぬ出会い。それが彼である。


やっほー。人懐っこい。


っていうかもしかしたら彼女なのかもしれないのだが、バックショットを捉えようとした際になぜか排泄をし始めたので玉の所在は不明。恥じらいのためだろうが糞尿で誤魔化すのは本末転倒ではないだろうか。攻撃されたのはそれくらいで、大人しい性格。思う存分触らせてもらい、気分はアルプスの少女ハイジ
彼のおかげで毎日の散歩を続けることができ、結果的に東京にいる時よりも運動量がアップ。調子に乗ってストレッチや軽い筋トレもするように。
散歩して、動物との交流で癒され…まるで隠居生活を楽しんでいるかのよう…。
そして最後の散歩。お世話になった彼に別れを告げる。ああ、もう行かなくちゃ…ドイツのフランクフルト*1での生活が待ってるわ。明日から私はアーデルハイト、ハイジの名はあのアルムの山*2へ置いていくわね…手紙*3を出すわ、きっと受け取ってね…と別れを惜しみ、帰路につくと風に乗って聞こえてくるは彼の鳴き声……と草を食む音。悪かったな邪魔して。

*1:東京 足立区

*2:名称:赤子山 標高230m

*3:多分、食われる