標高2500mの世界

夜中に目が覚めて、そのまま眠れなかった。バッドコンディションである。
天気予報は午後から雨。ひとまず早朝散歩、と池の周りを一周する。
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岩がゴロゴロしている上に木の根が隆起していて、あたりにビッシリと苔が生えている。「もののけの森」って…もののけ姫のことですよね。
想像では、爽やかな空気の中でマイナスイオンを目いっぱい吸い込みながら悠然と朝の散歩を楽しむ我々、というつもりだったのだが、現実は前日の酒と睡眠不足で死の行進…。

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帰って朝食。いきなりラーメンである。マルタイの棒ラーメンはアウトドアマンの味方。かさばらない上にゴミも少なく済む。
テントはそのままにして、行動食と雨具と水と貴重品だけを持ち、先ずはにゅうという変わった名前の山の頂上を目指す。「にゅう」とか「にう」とか「ニュー」とか「乳」とか看板によって表記が異なるのが気になる。統一してくれよ。帰ってその話をしたら、水銀のことではないかとの指摘をいただいた。確かに、水銀=丹生=にゅう、となるのは不自然ではない。気になって調べてみたら、山名は、刈り取り後の稲を円柱形や円錐形に積み上げる稲わらの「にう」のことらしい。水銀鉱山ってわけではないのか。

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暗くじめじめした山道をゆく。水たまりやぬかるみが多く、平坦な道でも気を使いながら歩くとけっこう疲れる。しかも歩きやすいように配置されたであろう丸太は、ヌメヌメしていてとても危険。結局避けて登るしかない。これ意味ないじゃん!

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そのうちに岩場が増えてゆく。苔むしているうえに、湿っているのでツルツルと滑り、とても歩きにくい。頂上が近づくにつれ、傾斜も大きくなっていく。

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頂上。スタート地点の白駒池が遠くに見える。右の人…山伏かな?

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反対側。標高2352m。森林限界を超え、山頂には草木が生えていない。見通し抜群である。大きな岩がゴロゴロしているのだが、その向こう側は崖。高所が苦手な人は登ることが出来ないと思う。
少々休憩し、先客の団体と交流を楽しむ。その中のお一人は、山頂にあるすべての岩の上に登りたいと言って、かなり足場の悪い岩へも果敢に攻めていった。高いところが苦手な夫と友人は、その様子を見ることもできないようである。私は全く平気で、崖沿いでダブルピースをかましたりしていたのだが、まぁ真っ先に死ぬのはこういう奴なのだ。
そのまま、緩やかに登ったり下ったりをしながら中山へ。にゅうよりちょっと高い2496mだ。この中山山頂は「えっここ?」ってくらいあっさりとした看板が登山道沿いにポンと立っているだけで、登山者を拍子抜けさせる。まぁ、山頂というのはその山の一番高いところのことなので、展望できようができまいが山頂は山頂なんだな…。
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少し進むと展望台に出る。ここはかなり広いので、他の登山者をあまり気にせず休むことが出来る。休憩しながら、山伏が、隣の山の縞枯れ現象を教えてくれた。森林限界直下で起こる現象らしく、木々が縞状に立ち枯れてしまうらしい。過酷な条件のなか、種を存続させるための間引き作戦か。全にして個、個にして全ということか…。(だったらそこに生えるのやめたら?とは思ってはいけない)
で、私は登山において一番辛いと思っているのは登りよりも降りで、しかも今回は滑りやすい岩の上を場所を選びながら下っていったので、膝や足にかなりの負担がかかり、休憩をこまめに取らせてもらうことに。結果、予定よりも時間が押してしまい、撤収する時には豪雨の中でテントをしまう羽目になる。しかも私が雨具だと信じて疑わなかったゴアテックスの上着が、どんどん水を吸って、最終的には中までぐっちょり…。ゴアテックスって書いてあるのに、何故!?やはり下北沢のシカゴで2000円で買った装備では不十分だったのか…。

這々の態でバスに乗り込み、茅野駅へ。銭湯で冷えた体を温め、そばを食べて帰路についた。
今回の登山から学んだことから
簡単でイカす山飯を作れるようになる・はやいとこ雨具を買う・なによりも飲みすぎない
の3点を次に繋げたいと思う。