胞子の世界

飲み友達の中に、毎年、北八ヶ岳の白駒池へ行く人がいる。いつも羨ましいと思っていたので、今年はお願いして、一泊二日の白駒池ツアーに夫婦共々連れて行ってもらった、先月のはじめ。


9月5日、朝。スーパーあずさ5号で新宿から茅野へ向かう。どうしたって、頭の中に狩人が流れますよね。また8時ちょうど発なんだこれが。
なんだかんだで前日遅くまで起きていた我々夫婦は、夫は何も食べず、私は味噌汁一杯のみの朝食。空腹を我慢できずに車内販売でわっぱ飯弁当を購入し、分け合う。そして死んだように眠る。するとどういうわけか、我々の座席に冷房(強風)が常時直撃し、山に着く前に凍死の予感…。二時間半くらいで茅野駅に震えながら到着。これから一時間かけ、バスで一気に標高2000mまで登る。ま、寝てれば着くべ、と乗り込めばバスは満席。溶けちゃうんじゃねぇのってエンジン音を響かせながら、うねる山道の中進む。このあたりは別荘地のようで、意外と交通量が多い。対向車はばんばん来るし、バイクのツーリストたちもウィンウィンとバスを抜かしてゆく。ていうかもうすぐカーブだよ…見通し悪いよ…行くの?行くの?ってな感じで他人事ながらヒヤヒヤさせられてとても寝るどころじゃなかった。


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バスを下車して軽くストレッチ。白駒池までは歩いて30分。楽勝。
木彫りのフクロウが「ようこそ苔の森へ」とお出迎え。そう、白駒池周辺はとにかく苔が素晴らしいとのこと。映画「もののけ姫」に出てくる森のようらしい。実際、目的地までの道すがら、苔やきのこがそこかしこに生えている。



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白駒池に到着し、「横溝正史の世界だ!犬神家の一族だ!」と一人興奮…。今回の目的は、都会の喧騒から離れて身も心も清らかに洗い流す癒しの旅であるはずなのに…美しい景色の中、陰惨な殺人事件を連想してどうする!
先ず、池のほとりでテントを設営。テント泊は、おそらく19年ほど前…友人たちと何故か我が家の庭でテントを張り、友人が持ち込んだ「名探偵コナン」を回し読みしただけで終わった無意味なお泊まり会を最後にしたことがない。その頃に比べると、今のテントは圧倒的に軽く、組み立ても超簡単!こんなに進化しているのか…。そして当時数巻しか出ていなかったコナンが未だ続いていて87巻にまでなっていることにも戦慄…。
池の周りを散歩したのち、この日は早々に飲んでしまうことにする。自然の中で酒を飲めるのも、キャンプの醍醐味である。夫はこの日のためにニョッキなんて洒落たものを作り、冷凍して持参していたので、やるじゃん夫、と食べてみる。うん…これは……すいとんですね?テントという簡易住居が裏目に出て、そこはかとなく戦後感が漂う結果となった。
その点、アウトドア野郎の作る野外めしは、シンプルながら、間違いのない旨さ。一品目は、缶コンビーフとセブンプレミアムのポテトサラダを混ぜたもの。よいつまみだ。そう、野外めしの真髄はいかにかさばらず、簡単に、手早く調理出来るかが鍵だ。ぐいぐいビールを飲み、ちびちびつまみながら二品目。さばフィレ缶をそのまま火にかけ、グツグツ煮えてきたら身をほぐし、一味と黒七味のブレンドを振り、バケットと共にいただく。
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そもそもアラフォー男性がこんなに可愛いパッケージの缶詰を選ぶとは。バケットもゴントランシェリエとかそこらへんで用意したとかなんとか…なんだこのおっさん。*1
なにはともあれ、用意したつまみとビール・ワイン・ラム酒を平らげて、20時にはお開き。暗いと何にもできないので、自然と早寝になる。明日は登山だ。

*1:因みに唯一女性の私が用意したつまみは、チーカマ10本入りであった。調理不要。